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 ☆ 春季特別企画展 『食卓の華』
・・・世界に愛された日本の洋食器100年
          
2007年 4月7日―6月10日


    



2003年、日本陶器(現 ノリタケカンパニー)の100周年を機に企画された『土と炎の世紀』・・・ノリタケチャイナと製陶王国の100年史展に並ぶ大きな企画展であった。
今回は井谷さんの記念講演会に招かれ愛知県陶磁資料館に赴いたのであるが、土曜の昼下がり、リニモの陶磁資料館南駅に降り立ったのは家内と小生の2人だけ。緑の中を資料館に向かって歩くのだが、猫の子一匹さえ見かけない。以前はバスで来たためか、こんなに辺鄙な所とは思いもよらなかった。愛知万博が終わった後の反動だろうか。資料館といっても随分立派な博物館である。企画、展示内容、そしてカタログなど何一つ遜色ないにも拘らず、あまりにも来館者が少ないのである。幸い記念講演のホールはほぼ人で埋まったが、聞くところによると講演会のない平日は大変閑散としているらしい。深い森の中にぽつんと博物館を建てたところで、モナリザ級の世界的名画をいくつも展示しない限り、関係者やマニア以外、足を運ぶ人は殆どいないだろう。立地が悪過ぎるのである。


長い休眠状態から久々の更新である。
この半年近く、あまりにもお伝えしたいことや書きたいことが山積し蠢いている。
本来ならば、オールドノリタケに関するいろんな催し物や行事などは事前にお知らせするのがこのようなサイトの大きな役割の一つかもしれないが、主宰者の怠慢によって会期が終わってからのレポートとしてお許しいただきたい。

この4月に2週間ほどデビッド教授夫妻が日本に来日され、我が家にも10日間ほど滞在された。
3年前に来日した彼らの滞在記を例に洩れずレポートできずにいたので、今回は是非その模様を『デビッドさんの日本滞在記』と題して後日紹介してみたい。
また、この7月下旬に出席するNCS(Noritake Collectors' Society)とINCC(International Nippon Collectors' Club)のアメリカでのコンベンションの模様をお伝えしたい。
さて、今回の企画展は前回のように、タイルや衛生陶器などセラミックス全般にスポットをあてるのではなく、ノリタケをはじめ、有田、瀬戸といった明治の焼き物やディナーセットを中心に我国の洋食器生産の100年の歴史を紹介している。
このサイトでいち早く紹介したhttp://www.old-noritake.sakura.ne.jp/collection/cup/index4.htmlラーキン社のアザレアパターンが図録の表紙と2ページ両面にわたって大きく紹介してあったのには驚いた。この企画展の趣旨から言えばノリタケの大量生産への先鞭をつけたといわれているアメリカのラーキン社からのこの特注品は我国の洋食器生産にとって欠くことのできないアイテムであるからである。
大きなベースなどに比べ、日の当たらないこのようなアイテムを大きく扱ったことに拍手を送りたい。
これほどまでに大きく展覧会で取り上げられはことは、コレクターとして嬉しい限りである。
しかしながら、それらが寄せ集めのセットであったこと。そして、裏印の説明や展示がなかったことが少し残念である。
ラーキン社の通信販売用カタログと一緒に展示されてはいるものの、展示品がラーキン社のものなのかどうかわからないのである。
ラーキン社からの大量発注によるアザレアパターンの大成功によって、ノリタケは販路を飛躍的に拡大してゆくわけであるが、当然、ラーキン社以外からのアザレアパターンの発注も多く、大量生産されている。このシリーズでは裏印は所謂ライジングサン、M in Wreath の Green 印 と Red 印、そしてAzalea Pattern 印 の4種類が確認されている。
アメリカのラーキン社からの特注品にのみAzalea Pattern 印が用いられたわけで、全体から見ればこの印をもつアイテムは数は少ない。
ラーキン社以外の注文に対しては他の3つの裏印が使用されたものと思われ、これらのアイテム(C&S やプレート類)はアメリカでも殆どが10ドル〜100ドルくらいで容易に手に入る。
ただ、アザレアシリーズのチャイルド・セットや珍しいベースなどのコレクターズアイテムなどは法外な値段がつき、これらは我国には殆ど入ってこない。
全般にオールドノリタケの盛り上げなどの人気アイテムを期待された方には確かに物足りない展示に映ったかも知れない。そして、ローズチャイナやオキュパイド・ジャパンなどの廉価なディナーセットが仰々しく展示されてある様は少し滑稽に思えたかも知れない。
しかし、この企画展の趣旨と歴史の流れから洋食器の全体像を掴む上でそれはやむを得ないことである。中にはテーマや歴史の流れから逸脱した展示も散見されたが、ノリタケに限らず、また、戦前、戦後に限らず幅広く展示に努めていたように思われる。
以前の展覧会でノリタケミュージアムに寄贈したREMOVAL NOTICEを記念に写真に撮ろうとしたら、係員にお咎めを食らったため、今回は残念ながら画像はパンフとカタログくらい。
井谷さんの講演は『近代日本の洋食器ーヨーロッパの銀器、食器とアメリカ磁器市場のはざまで』がテーマ。
随分と多岐にわたる内容で一口に言えないが、ヨーロッパに磁器が入ってくる前は貴族たちは自分たちの権力を誇示するため、銀器を使用していた。それがやがて中国からの磁器に代わり、マイセンがヨーロッパで初めて磁器を誕生させたという興味深い内容。その他、アメリカ磁器市場、明治の日本人の食卓と磁器産業などについてのお話であった。
井谷さんの講演が終わるや否や、私たちは早速、Y氏がオープンしたオールドノリタケの博物館、ギャラリー千種に向かった。
海を渡った陶磁器・・・オールドノリタケ展(大賀・若林コレクション)

京都の細見美術館で大賀・若林両氏のオールドノリタケ・コレクション展が4月下旬から7月上旬にかけて催された。
数年前の大倉集古館でも同じようなコレクション展が行なわれたが、今回はデコもの以外は殆どが大賀さんの作品である。
細見美術館は昭和の実業家、細見良に始まる細見家三代が蒐集した日本美術の宝庫である。
まだ開館して年とたたないが、質の高い日本美術コレクションとして内外より高い評価を受けている。
内覧会への招待状をいただいていたが、折角の機会を逸してしまい後日、京都骨董際の帰りにお邪魔した。
平安神宮をはじめ、国立、市立博物館、美術館などの文化施設が集中する岡崎公園の一角という素晴らしい立地である。
雨上がりの平日にも拘らずノリタケファンが結構つめかけていた。
館内の撮影を控えたため展示内容をご覧いただけないが、いくつかのセクションに程よい空間が与えられ、格調高くディスプレイされてあった。アイテムを図柄などで世界各国の名前に分類する等、ユニークな試みがなされていた。
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ラーキン社のアザレアパターン印