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モリムラドール ( Morimura Doll )

第一次世界大戦の勃発によって、アメリカ市場から撤退を余儀なくされたドイツ製ビスクドールにとって代わったのが、このモリムラドールである。ビスクドールとは頭部が陶磁器でできた人形をいい、一般にはフランスのジュモーやブリュー、ゴーチェなどが有名であるが、モリムラドールは1915年から僅か7年間しか流通しなかった、いわば幻とも言えるビスクドールである。

裏印(ヘッドマーク)には所謂スパイダーマークの左右にMorimura BrothersのMとBが配され、その上にモールド番号、下にサイズ番号が記されている。例えば、モールド番号が1であればFull Jointed Doll、6であれば東洋系のお人形ということになり9種のパターンがある。サイズは小さいほうから順に、4/0、 3/0、 2/0、 1/0 そして0、1,2,3〜11(12 モールドによってそれぞれ異なる)と16(17)種類あり、11(12)が最大となるが各モールドによって未だ確認されていないことが少なくない。残念ながら、専門書にはこのモールド番号とサイズ番号を逆に解説してあったりするので注意したい。そしてヘッドマークの下にはMade in Japan ではなくJapanという筆記体の文字が記されているのが特徴である。また、モリムラブラザーズはBisque-Head Dollとして頭部のみの販売もしていたようである。

尚、FYマークのYamato、RE Nipponマーク、Horseman Nipponマークなど10社以上ものニッポン ビスクドールが短期間の間にアメリカに流れ込んでおり、外貨獲得のため、先進列強に追いつくまいとする当時の我国の気概が伝わってくるような気がしてならない。

   


   







 
〔Moriguchi Collection〕 




〔Moriguchi Collection〕 


   





 * 関コレクション

北海道の江別市にお住まいの関敬子さんのコレクションである。
女性らしくモリムラドールをはじめノリタケ・アールデコの熱心なファンで、
主婦やOLを中心とした女性にも根強い支持があることが伺える。
これからのコレクターの主役は寧ろ彼女達かも知れない。


〔Seki Collection 〕


  
〔Seki Collection 〕


  
〔Seki Collection 〕





  







     

   

                        





  


  





  

* 贋作と偽物について ( Fake & Reproduction )

オールドノリタケには贋作が非常に少ない。これはオールドノリタケの最大の特徴の1つであり魅力なのだが、意外とこの事実は知られていない。特にデコアイテムに限っては未だ一点たりとも確認されていないことは驚愕に値する。
( 『オールドノリタケ アールデコ・ボーンチャイナ』 木村一彦・葵航太郎著 トンボ出版 P63参照 )

ここ数年で急激に再評価され、今でこそ高級西洋磁器に肩を並べるにまでなったが、長い間、日の目をを見ずに忘れ去られていたため、少なくともここ数年までは幸か不幸か贋作の対象になり得なかったためである。確かに同じ労とコストをかけるのなら、マイセンを始めとする西洋高級磁器のコピーに走るのが生産性のコストから考えても得策であったことは言うまでもない。

周知の通り世界で最もコピーされているのは、間違いなくマイセンであり、真正品より贋造品の方が多いセーブル、そしてわが国の市場で流通している何と9割までもが贋作であるウイーン窯等は本物に巡り会うことのほうが稀なくらいである。これらの窯は正に贋作との闘いに明け暮れたのであるが、マイセンとドレスデンの諸工房との裁判の歴史は有名であり、そこに如何に西洋磁器に贋作が多いかを垣間見ることができる。ところがこれらの諸窯に比べオールドノリタケのそれは皆無と言っても過言ではない。桁違いに少ないのである。わが国における無数の西洋磁器の贋作の山は、その資料となる総合的な書籍や海外資料の翻訳版等の普及が全くなかったという事情に起因しており、一方、INCC( International Nippon Collector's Club )のホームページのReproductionAlert(※参照) でも掲載されているようにオールドノリタケは贋作、偽物の両者においてすでに確認作業がなされており、その点最も安心して手にすることのできるコレクターズアイテムと言えよう。

http://www.nipponcollectorsclub.com/reprod.html

にも拘わらず、ヤフーなどのネットオークションで『当方は贋作は一切扱っておりません。』といったフレーズをよく見かけるが、恰も贋作が氾濫している中で唯一正当な商売をしているかのようである。しかし残念ながら、素人や初心者にこのような誤解を伴った情報を提供することによって、要らぬ不信感や不安を持たせ、延いてはアンティーク業界全体に暗いイメージを作り、コレクターや愛好家の裾野を一般にまで広げることへの大きな障壁となっていることを理解すべきである。勿論、骨董祭等で偽物をつかまされたりする場合もあるが、これは売り手の無知によるところが多い。中にはオールドノリタケでないことを知っていながら偽って売りに出している悪質なケースもあるが、そのような場合はご一報くだされば幸いである。

本来、贋作と偽物は異なり、前者は真正品そっくりに真似てそれと並べてもわからない程精巧に作られているものであり、後者はスタイルや雰囲気を真似ているだけで実際の真正品とは明らかに違いがあり判別できるものを言う。オールドノリタケには贋作はごく一部のニッポンものに中国製の精妙に刻印された裏印を持つ贋作が散見されるが、稚拙な作風、磁質、器の重さや厚さ等から一見して容易に判別できる代物である。勿論オールドノリタケのとてつもなく膨大な生産量を考えるとこれらは無に等しい数である。一方、偽物は戦前から僅かながら作られており、贋作に比べると数も多いが、全くの素人でも判別のつくものが殆んどでマイセンの贋作コレクターでも100パーセント見分けがつく。

オールドノリタケもマイセンやセーブルと同様に贋作への警告がなされるようになったのも高級磁器の勲章と捉えるべきなのだろうか?あるいは再評価が高まる対象の言わば宿命なのかもしれない。