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▼ 磁胎塗り七宝

これは珍しい磁胎風七宝である。茶色い部分は漆であり七宝風に仕上げたものであるがジャポニズムの影響が見て取れる。このようにノリタケは西洋にはない素材に意欲的に取り組んだ。因みに漆のことを英語でjapanという。

  

  

  




   




  






色生地について

本品は俗に色生地と呼ばれ、素地が一見、備前焼にも見える茶色である。
日本陶器発祥の名古屋にほど近い、万古(ばんこ)または常滑の粘土を用いて焼成した一種のせっ器だと考えられる。素地に酸化鉄などの不純物で着色した所謂、せっ器(粗陶器)の一種であるが、一般の色生地が発色剤を白生地に混入して作られているのに対して、本品では自然の発色が利用されている。また一方で吸水性がないため磁器的な性質をも併せ持つ。この点、備前焼と似ているが言うまでもなく備前焼のような窯変はない。茶色の色生地にエナメルで七宝風に彩色し独創性豊かな完成度の高いものへと仕上げたオールドノリタケのバリエーションの豊かさを物語る逸品である。
尚、金色のM-NIPPON印はこの種の作品のみに使用されている。また、オールドノリタケにはピンクや淡いブルー、グリーンで着色されたボーンチャイナの作品が見られる。