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オールドノリタケと
奇妙なデザイン
Faux Cloisonne 編

オールドノリタケには驚くほど様々なデザインのパターンがある。今まではわかりやすい題材を取上げたが今回はその中でも一風変わったものを取上げてみた。

デザインを詳しく見ると

Back Stampについて

    

3.Back Stampについて

裏印は#47 M in Wreathのものだけである。

色々なデザインで私達を楽しませてくれるオールドノリタケだが、中には一風変わったデザイン
のものが シリーズで見かけられる。 それは、JVPの第六巻でMark Griffinのコレクションのなか
で取上げられており、Faux cloisonneと呼ばれ、Greek KeyのついたOriental Motifのデザイン
であると紹介されている。
ここで紹介するデザインは最初に見たとき、直感的に二つのことが浮かんだ。
一つは”地中海”あたりの文明の影響の草木文様(唐草)と極彩色の色合いからチベット密教芸術
の影響を強く感じた。”唐草”、”曼荼羅”、”密教芸術の壁画”に見られるデザインの混在した
不思議なデザインである。
特徴は
 ・Greek Key Pattern がある(これは、その名が示すように地中海方面で出土する壷によくある)
 ・中心にある文様はギリシャからの唐草の流れを受けた西域特にチベットの極彩色を使った
  独特のもの。
 ・Comportの台座にはGriffinが見て取れる。
ことから、Oriental(それも 地中海以東の唐草の影響とチベット周辺)のものでないかと考えている。
唐草文様は発祥の地は地中海圏の植物文様がギリシャ、ローマに伝わりインド、或いは中央アジアを
経て中国、日本と伝わったと考えられている。 日本には 中国から伝えられたために”唐草”文様と
呼ばれている。
以上の観察から、チベット密教芸術とギリシャ中心のデザインの組み合わせと考えているが、どのよう
にして、当時のデザイナーがこのデザインを採用したかは大いなる謎である。
(あくまで 私見であり、どなたか詳しい方のコメントを歓迎したい。)
又これとデザインが似ている(大分簡単なパターン)が、所謂 cloisonneの様な表面を持たない種類
のものもある。(Gouda デザインの一つとして紹介されていることもある。)

どのようなものに描かれているか?

1.デザインを詳しく見ると”チベット密教芸術”の影が見られる?????

2.どのようなものに描かれているか?

このFaux Cloissoneは現在確認されているのは、各種Vase、Compote、Humidor、Bowl
などがある。
 ほとんどはVaseで5種類位確認されているが、Humidor、Compoteは大変めずら
しい物である。筆者もHumidorを探しているが、なかなか見つからない。 Compoteも非常に珍しい
ものであり、特に内部まで、装飾されている。 今回このTopicsに掲載前に筆者の年賀状に取り入れ
使ったがなかなか見栄えのする一品だと思っている。

 まず中央に描かれているデザインをみると、草花を抽象化したパターンと鍵形
 のパターンの組み合わせが見られるが 添付のデザインを基本にし唐草文様が
 描かれている。これらは”チベットのミンドリン寺の壁画”縁飾りのデザイン
 に似たようなものがあり、その特徴的な極彩色の色使いからもチベット密教芸術
 の流れを持つものと思われる。
 又 表面はFaux Cloissoneと称されるごとく、一見漆を使った七宝風のしかも
 古さを模倣する様に汚れをつけたような塗りが施されているのが面白さと味わい
 を出しており
不思議な組み合わせである。

Comportの台座の底に施されている
典型的なGreek Key Patternをみて
頂きたい。 同じようなパターンがgreek
出土の壷の装飾として良く使われているの
がわかる。
Bowl部分を支える三匹(?)のGriffin達が
なんとも言えず可愛らしい。
ちなみにこのG  KeyのPatternはWedgwood
タイプのものにもみられる。

Compoteの上から見て
みると、中央にある草花
を基にしたデザインパターン
が見える。これは地中海の
壷に良く使われる文様である。

Vase (23.5cmH)

Compote(19cmW X 12.5cmH)

Vase (26cmH)

チベットミンドリン寺の壁画(部分)

チベット民芸(部分)

壷の縁飾り(地中海出土)

壷の装飾(地中海出土)

Griffin(スーサ出土)

壷の装飾(ギリシャ)

壷の装飾(地中海出土)

壷の装飾(地中海)

参考文献: チベット・クエスト(松本栄一著) 
        世界装飾文様図鑑(高見賢四郎 監修)
        デザイン 唐草文(学研: 吉田左源二著)

文責:水弘 純

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