『2008年度 NCS & INCC コンベンション・レポート』

    

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オークションが終わってからデビッドさんが親しい人たちを和食レストランに誘ってくれた。ホテルのいつものワンパターンの食事にもううんざりしていただけに心の中で万歳と叫んでいた。店内は日本人より白人のほうが多く超満員。
ニッポン食はニッポンだけでなく当地でも相当人気があるようだ。
実はホテルのお世辞にも美味しいとはいえない食事に一週間以上お付き合いしなければならないため、デトロイトの空港でしっかりお寿司を食べてきたのだがこれで当面は我慢できそう。

29日

朝食が終わると、この日は午前中からデビッドさんの出身校であるオハイオ州立大学の陶芸科付属美術館へのツアーである。希望者のみの参加で各自有志の車に分乗し一路大学構内へ。全米でも有数の大きな大学とは聞いてはいたが、図書館だけでも20館もありそのスケールには驚かされる。デビッドさんが学生時代によく利用したという図書館の一つを訪問したが、その重厚で静寂の中に歴史を感じさせる館内の雰囲気は、大阪の中ノ島図書館に似ている。実に恵まれた学習環境である。

マーガレット博士によるガイドとプレゼンでセラミック研究所ともいえる館内で参加者が矢継ぎ早に質問。それら一つ一つに丁寧にときに貴重な作品を取り出して説明してくれる。
この大学の出身者で、後にノリタケ・アールデコの再発見の端緒を見出したコトラー教授の作品(ネコのような置物)や第一回人間国宝の濱田庄司(象二)の作品、さらには仁清、柿右衛門、鍋島といった日本の書籍に至るまで、現代陶磁器が主だが大変充実している。
最近、陶芸をかじり始めた小生にとって、もっと時間があれば学生たちの作陶の様子なども見学したかった。
オハイオ州立大学から帰ると、明日から始まるINCCのコンベンションの打ち合わせに
いち早く集ったINCCの幹部、ジョアンさんとジュディーさんの部屋へ。
去年のINCCのコンベンションではジョアンさんは欠席されていたのでノリタケミュージアム以来数年ぶりの再会である。彼女がホテルをチェックインして荷物をエレベーターで運んでいるところに偶然出会った。
長年INCCを率い、多数の著書を通じてオールドノリタケの魅力を伝えてきた第一人者に突然声をかけられ、狼狽のあと嬉しさがこみ上げてきた。
さて、いよいよ“最後の晩餐”フェアウエル バンケットである。
いつものラッフルなどのゲームや景品をやり取りしながらのバイキングスタイルのディナーだった。
ホテル前でデビッドさんと別れを告げると、INCCのメンバーたちの部屋売りをしている各部屋へ。
もうすでにホテルの中庭の一角にはINCCの横断幕が掛けられてあり、参加者を迎えてくれる。
今年も去年同様、部屋売りではお金さえ出せば結構良いものが揃っているように見える。
NCSとは比較にならない。ただ、あまりにも高すぎる。ものの数点買うとあっという間に予算オーバーでお話にならない。景気がこれだけ悪くなっている割にはべらぼうな値段がついており、不思議なくらいだ。
売れなければオークションに回すという算段から、始めは高く値段設定しているのかも知れない。
31日

INCCのコンベンションは8月3日の朝食までとなっているが、途中で切り上げ8月1日の午前中にフライトすることになっている。したがって1日に予定されている
オークションには残念ながら参加できない。部屋売りの売れ残りとはいえ、格安で良いものが落札できるかもしれないし、部屋売りにはなかった掘り出しものもでてくるかも知れない。
ただ、ごく一部だが、コレクターが親密なディーラーと部屋売りにでる前から品物のやり取りをしている様子で一般の参加者がスーパーアイテムに出くわす機会は殆どない。万一、そういう機会があってもすでに売り切れという有様で、去年そういった、からくりを垣間見て学習したため、今年のオークションはパスすることに。
初日のプレゼンはジェス・ベリーさんの自らインディアンの衣装に身を包んでのインディアンのモティーフのアイテムレポート。
日本人参加者たちと昼食をとった後いよいよ井谷さんの講演である。
小生は去年同様、パワーポイントの操作をお手伝いすることに。

『名古屋地方における上絵付け業と貿易商社の隆盛』という内容で、去年出版された自書の一部抜粋されたものの英語バージョン。明治の馴染み深い有田や九谷から耳慣れない窯元の名前まで、ノリタケ以外にこんなにもたくさん絵付け工場や窯元があったのかと思うくらい調査研究されていた。

8月1日

氏も講演を最後に荒木さんと一緒に1日に帰国される。
時間的に小生のほうが遅い便のため、ホテルの玄関先までお2人を見送ることに。
この度もご両人には本当にお世話になった。あらためてこの場を借りてお礼申し上げたい。
30日

今日からNCSに代わってINCCのコンベンションが始まるわけだが、実質レジストレーションとディーラーたちがいち早く来て自分の部屋で部屋売りの準備をしているくらいで、これといって何もない。
そこでデビッドさんが自分の故郷と映画、マジソン郡の橋で有名になった橋を見に行こうと誘ってくれた。
デビッドさんの故郷はちょうど一年前に木村さんたちと一緒に訪れている。
クリーブランド郊外のCanal Winchesterは小さなとても美しい町である。
赤レンガ造りの洒落た洋館に再 会。彼の卒業した小学校からファーストキッスの女の子の生家まで案内していただいた。
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