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14回 NCSコンベンション in Cleveland no.2
2007 July21-24

    


23日
いよいよオークションの日がやって来た。
今年は有名なコトラー・コレクションが放出されるかもしれないという情報があり、わくわくドキドキしていたのだが、渡米前日にキャンセルと聞きガックリ。INCC同様、NCSでも年々、オークションで売りに出されるアイテムのグレイドが低下していく傾向にある。オークションの最後のほうにビッグなアイテムが僅かばかり放出されるが、出品者が希望価格まで値段を吊り上げるので決して安く手に入るわけではない。ただ、アイテム数が300点以上と参加者人数に比べかなりの点数に上るため、誰も入札しない場合は、驚くほど安く入手できる。これこそ、ライブオークションの醍醐味といえる。アメリカからの送料を考慮すればeBayでビッドするのが馬鹿らしくなる。廉価なものほど送料の比重が大きくなるためだ。ノリタケを扱う業者さんにとってまたとないチャンスである。しかしながら、小生は殆ど入札せずに観戦に回っていた。
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24日
最終日の24日は観光バスでクリーブランドの周遊とリバークルーズが予定されていたが、木村さん、井谷さんと小生の一行は、次の目的地、INCCの会場であるケンタッキー州のレキシントンまで、途中一泊しながらアンティーキングをすることにした。ホテルの玄関で観光ツアーに出発するメンバーたちを見送ると、木村さんがチャーターしたレンタカーに乗り込み、時速100マイルもの猛スピードでハイウェイをぶっ飛ばす。
上下、何車線もあるフリーウエイでは体感速度はあまり感じない。日本の2車線の高速道路を走っているときのほうが、ずっと体感速度を感じるような気がする。
私たちはアメリカ大陸を10万キロ以上走破したという木村さんのハンドルさばきにすっかり甘えていた。 『今まで何回くらいパトカーに捕まった?』という問いに『何回も』という答えを聞くや否や、まさかパトカーのサイレンの音がだんだん大きく聞こえてくるとは・・・
どうしてそんなに急いでいるんだ?と警察官に聞かれたので、いかにもタドタドしい英語で『 I am a visitor 』 と返事をしたら、これが功を奏し、ものの5分ほどで無罪放免となった。時には罰金を支払わねばならないときもあるそうだが、とにかくラッキーだった。
私たち一行は、まず一路デビッドさんの生家があるクリーブランド郊外のCanal Winchesterへ。レキシントンへの途中でよかったら立ち寄るように勧められた。大きなアメリカの地図を片手に猛スピードで突っ走る木村さんのハンドルさばきは、正に神業で何ら迷うことなく一発で目的地に着いてしまう。ナビを使っても外国ではこう上手くはいかないだろう。Canal Winchesterは歴史的風情の残る非常に綺麗な町だった。デビッドさんの生家は、とても何十年も前に建てられたとは思えぬ赤レンガ造りの立派な洋館であった。通りには花々が美しく活けられ歴史的史跡も少なくない由緒ある町だった。
Canal Winchesterを後にし、スプリングフィールド郊外のアンティークモールへ。
我国でもこういったアンティークモールが最近お目見えするようになったが、何しろ本家のアメリカは馬鹿でかい。一つ一つ、つぶさに見ていたら何時間あっても時間が足りない。日用雑貨から生活用品、ガラス、食器、古着、家具、金物、書籍、クラーフトなど、ガレージセールに出るような物が少なくない。この中からお宝を掘り出すのは余程の目利きでないと並大抵のことではない。とにかく、オールド・ノリタケのみに的を絞って速足で駆け巡ることにした。
一時間後の待ち合わせ時間になっても、結局小生は何一つめぼしいものは見つけられずにいたのだが、木村さんや井谷さんはそれぞれお宝をゲット。サイト用の写真を撮るだけで精一杯であった小生は次のモールに期待をかける。
閉店時間の6時まで1時間ほどあるので近所のモールへ車を走らせた。
先ほどのモールに比べ随分と規模は小さいが、ここでコラーレンのランプをオーナーとの電話での値交渉で200ドルの値引きに成功。ここでも木村さんはお宝を漏れなくゲット。全員、今日の収穫に満足し予約してあったホテルへ。
25日
これからはレキシントンのコンベンション会場のあるEmbassy Suites Hotelまでの道中、お宝探しである。簡単に朝食を済ましてからいざ出陣。夜の7時からレジストレーションが始まるので、それまで時間はたっぷりある。昨日、木村さんが瓢池園の鉢を見事に見つけていたため、やる気十分。今日こそ大物を見つけるぞ!と闘志満々で3つ目のアンティークモールへ。アメリカでは規模が小さく、目ぼしいものがないということで、大きなモールに移ることにした。4つ目に入ったモールはArmadillo antique mall。これは初日に入ったモールよりまだ規模が大きいが、内容やクオリティーは少し劣るような気がした。僅か一時間や二時間でとても十分に見て回れるものではない。お宝をゲットするというより、アメリカの古きよき時代の風俗、文化や生活習慣、そして大量消費の負の遺産を観るようでもあった。結局、小生は6ドルのかわいいレモンプレート1つ。予定の時間に3人がモールの受付に集まると何と木村さんは段ボール箱一杯のお宝を抱えているではないか。勿論、彼はプロであり、ノリタケ以外のお宝もいろいろと入手しているが、そのあまりの収穫の違いに唖然とするばかり。木村さん曰く、『目だけでなく嗅覚も使いこなさないと』???これでは全く大きな開きができて当然である。
3人の楽しい珍道中も大したトラブルもなく、夕刻前に無事にホテルへ。
受付を済ませ自分の部屋で少し寛ぐと、各階のニッポンもののセラーの部屋へ。
NCSもそうであるが、このINCCでも同じく、クラブとしてのオークションだけでなく、会員、非会員でもホテルの部屋を借り切って、持ち込んだアイテムをクラブの会員を対象に売買していいことになっている。比較的グレイドの高いアイテムはこうした部屋売りで取引され、売れ残ったものがオークションに出品されるといった傾向にある。従って当然割高な価格である場合が多いが、思わぬレアものに出くわすこともある。写真の海老の盛り上げ花瓶などはコレクター垂涎の的といえる。タッチの差ですでに売れていた。
例年はこれだけのグレイドのものが揃うことは珍しく、今回はジェリー・ブラウンというビッグコレクターの一人がコレクションの全てをコンベンションで放出するという幸運に恵まれた。3つの部屋を連続して借り切り、奥さんと一緒に商いしている。しかしながら、年々品薄になる盛り上げを中心としたオールド・ノリタケにセラーは超強気で、eBayで入手するほうがはるかに安いものも少なくない。NCSのコンベンションでは土壇場でコトラー・コレクションの放出がキャンセルになったと聞いていたため、軍資金を3分の1に減らしてきたのが災いした。手持ちのお金では殆ど購入できないのである。仕方なく、セラーと後日送金するとの約束で交渉成立。幸い彼は小生を以前からよく知っていたらしく、その点全く問題がなかった。4〜5点、盛り上げのベースを買い、他の部屋へ。最初の部屋で目の保養をしたためか、ただ通り過ぎるだけの部屋もあり写真に収めることもなかった。